概要米連邦公開市場委員会(FOMC)は2025年5月7日(日本時間)の会合にて、フェデラルファンド金利の誘導目標を4.25%~4.50%のまま据え置くことを決定しました。金融政策は前回3月会合に続き「現状維持」を選択し、不確実性の高まりを踏まえて次の一手を慎重に見極める姿勢を示しました。
主な決定事項
- 政策金利の据え置き
フェデラルファンド金利の目標レンジを4.25%~4.50%に維持。これは昨年12月以来の据え置き継続となります。 - バランスシート縮小の継続
保有する国債やMBS(住宅ローン担保証券)の縮小(テーパリング)を引き続き実施。 - 今後の見通し
経済指標やインフレ率、労働市場動向を注視し、必要に応じて追加的な調整を行う姿勢を堅持。
据え置きの背景
- 経済成長の鈍化懸念
1~3月期のGDPはマイナス成長(-0.3%)となり、輸入増加が成長を下押ししました。 - インフレ率の高止まり
個人消費支出(PCE)価格指数は目標の2%を若干上回る水準で推移し、インフレ圧力は依然として根強い状況です。 - 労働市場の堅調さ
失業率は低位で安定し、雇用環境は引き続き堅実。ただし、企業の採用・投資意欲には関税政策の影響で慎重ムードが広がっています。 - 政策的不確実性
大統領による追加関税政策が経済の先行きに不透明感をもたらしており、FOMCは「待ち」の姿勢を選択。ステグフレーション(低成長+高インフレ)のリスクも指摘されています。
市場の反応
- 株式市場
発表直後に一時下落したものの、リスク回避ムードが後退し、主要株価指数はプラス圏で引けました。 - 債券市場
長期金利はわずかに低下。金利据え置きで追加利上げ観測が後退したためです。 - 為替市場
米ドル指数は小幅高。インフレリスクを警戒しつつも、金利維持が相対的にドルを支えました。 - 今後の見通し
次回の6月会合でも据え置き予想が強く、早期の利下げ観測は7月以降に持ち越される見込みです。
今後注目すべきポイント
- 6月の雇用統計
労働市場の底堅さが継続するかどうかが、FOMCの判断材料となります。 - インフレ関連指標
物価上昇が鈍化するか、再び加速するかで政策スタンスの変更タイミングが左右されるでしょう。 - 関税政策の動向
政府の通商政策が経済に与えるインパクトの大きさ次第で、FOMCのリスク評価が大きく変わります。 - 世界経済の動向
中国や欧州の景気減速リスクにも要警戒。国際的な連鎖反応が米国経済に波及する可能性があります。
まとめ
FOMCは先行き不透明感を受け「待ち」の姿勢を維持し、当面は現行金利水準の据え置きを継続すると表明しました。インフレ抑制と景気支援のバランスを取る難しい局面が続きますが、6月以降の経済指標を精査しながら、必要に応じた政策調整を行う構えです。
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