2025年5月9日、三菱重工業株式会社(7011)が2025年3月期本決算を発表しました。受注高、売上収益、当期利益は過去最高となった一方、来期予想で受注高が16.6%減の見通しとなったことが警戒され、決算発表後の後場には株価が急落しています。
決算ハイライト
- 受注高:70,712億円(前年度比+3,872億円、+5.8%)
- 売上収益:50,271億円(前年度比+3,700億円、+7.9%)
- 事業利益:3,831億円(前年度比+1,006億円、+35.5%)
- 親会社帰属当期利益:2,454億円(前年度比+234億円、+10.6%)
主要カテゴリー別の動向
- エネルギー・プラント事業
国内外で発電プラントや石油・ガス関連装置の受注が堅調に推移。 - 航空・宇宙事業
ロケット打ち上げや航空機部品の稼働率向上で増益を確保。 - 防衛・輸送機器事業
防衛投資拡大の追い風を受け、新規受注が前年度比で二桁増。 - インフラ事業
海洋機器や社会インフラ整備プロジェクトにおいて採算改善を達成。
2025年度業績見通し
- 受注高:59,000億円
- 売上収益:54,000億円
- 事業利益:4,200億円
- 当期利益:2,600億円
※ 為替前提:1ドル=150円、1ユーロ=160円
株価動向:後場の急落
決算発表直後の後場、株価は前日終値比−161円(−5.56%)の2,731.5円まで急落しました。来期予想で受注高が17%減の見通しとなったことが警戒され、売りが先行した模様です。
投資家の視点と今後の注目点
- 配当:前期比+1円増配を発表。配当利回りは0.80%程度。
- 受注動向:来期に向けた大口受注の獲得状況をウォッチ。
- 為替感応度:円安メリットの一巡後、為替推移による収益への影響を注視。
- 株価回復の鍵:新中期経営計画や防衛関連予算の動向、国策需要の拡大が回復シナリオ。
三菱重工業は堅実な業績改善を果たしつつも、市場の期待と需要変動に敏感に反応する構造を改めて示しました。今後は来期受注見通しの具体化と、新規成長ドライバーの獲得が最大の焦点となりそうです。
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